
K-ドラマがアイドル俳優にハマり続ける理由を分析
「Tomorrow」の大ヒット、そして今「Idol I」。韓国テレビは、ファンが画面上で大好きな有名人にどのようにハマるかをついに解き明かした。新作ドラマがNetflixグローバルトップ5に入り、それはファンダム文化とクライムドラマを完璧に融合させている。
ファンダムを物語装置にする時代が到来した
近年の韓国ドラマには、はっきりとした傾向が見られる。物語の中心に「アイドル俳優」と「ファンダム」を据える作品が、安定した成果を上げているという点だ。2024年には『ソンジェ背負って走れ(原題:선재 업고 튀어)』でビョン・ウソクが一躍注目を集め、俳優としての存在感を拡張した。そして2026年に入り、GenTV制作のドラマ『Idol I』がNetflixのグローバルトップ10にランクインし、公開直後から多数の国で高い視聴数を記録している。
これらは偶然ではない。制作側がファン文化を「外部要素」ではなく、「物語を動かす前提条件」として設計している結果だと言える。
『Idol I』が従来のクライムドラマと異なる点
『Idol I』の基本設定はシンプルだ。無敗の実績を持つ敏腕弁護士が、殺人罪で起訴されたトップアイドルの弁護を引き受ける。しかし、この作品が特徴的なのは、ファンダムを単なる背景として扱っていない点にある。
法廷での攻防は、法理だけで進行するわけではない。オンライン上のファン活動、世論形成、集団的な情報分析といった要素が、ストーリーの進行に直接関与する。ファンの行動そのものが、物語を動かす力として組み込まれているのだ。
キム・ジェヨンが体現する「守りたくなる存在」
本作で特に注目を集めているのが、主演を務めるキム・ジェヨンの存在だ。彼は華やかなアイドルから一転、殺人容疑をかけられた被告人として登場する。この落差が、視聴者の感情を強く揺さぶる。
ステージ上で完璧に作り込まれた笑顔と、取り調べ室で見せる恐怖と動揺。その二面性を丁寧に積み重ねる演技は、「アイドル」という存在が本質的に持つ仮面性を浮き彫りにしている。
視聴者は単に事件の行方を追っているのではない。守りたい存在が、最も無力な立場に置かれたとき、何を感じるのかを追体験している。そこに、従来のクライムドラマにはない強い感情的関与が生まれている。
視聴率以上に重要な意味を持つ理由
制作側が見出したのは、ファンダムがもはや「支持層」にとどまらないという事実だ。ファンダムは物語装置であり、プロットを前進させる機能そのものになり得る。
国際的な反応も示唆的だ。40か国以上で受け入れられている背景には、K-pop文化に詳しくない視聴者であっても、「誰かを信じ、守ろうとする集団心理」に共感できる構造がある。
これは一時的な流行ではない。テレビドラマが、現代の視聴者がセレブリティ文化とどのように向き合っているかを、ようやく正確に反映し始めた結果だ。
この流れはどこへ向かうのか
今後の焦点は、ファンダムを扱うドラマが続くかどうかではない。その表現が深化するのか、単純化されて消費されるのかという点にある。
『ソンジェ背負って走れ』や『Idol I』以降、カリスマ性を持つ俳優を「ヒーローであり同時に犠牲者でもある役」に配置する手法は、単なるマーケティングではなく、2020年代半ばの韓国ドラマを特徴づけるジャンルの一つとなりつつある。
Alex Chen
Cultural analyst with deep insights into K-content and industry trends. Known for thoughtful essays that blend criticism with accessibility.
Contact Alex




