
KiiiKiiiが仕掛けた“Delulu World”とは何か――ティーザー戦略から見る次世代K-POPプロモーション
KiiiKiiiが発表したティーザーは普通のカムバック告知ではない。'Delulu World'というウェブサイトを通じて、Gen Zグループが単なる音楽リリースではなく、ファンが夢中になって謎を解きたくなる異世界を作っていることを証明している。
通常のティーザーを使わなかった理由
ティーザー写真も、ハイライトメドレーも、カムバックポスターもない。代わりに公開されたのは、ひとつのウェブサイトだった。
2026年1月1日、StarshipエンターテインメントはガールズグループKiiiKiii(キキ)の1月下旬カムバックを正式に発表した。しかし、その方法は従来のK-POPプロモーションとは大きく異なっていた。発表と同時に公開されたのが、「Delulu World」と名付けられた公式サイトだ。
内容を説明するのではなく、ファン自身に「読み解かせる」構造。この選択が、SNS上で瞬く間に話題となった理由でもある。
近頃SNSを見ていれば、KiiiKiiiの名前が音源やミュージックビデオとは無関係にトレンド入りしているのを目にしたはずだ。理由は、この公式サイトそのものが、2026年でも珍しいほど“解釈前提”のプロモーションになっているからだ。
5つのテーマ、5つの空気感
「Delulu World」には、視覚的にも雰囲気的にも異なる5つのテーマが用意されている。
冬の装飾とキャンドルが印象的なテーマ、夜空に花火と「2026」の数字が浮かぶテーマ、花びらが舞う童話的な世界観、シャボン玉を使ったポップで軽やかな演出。そして5つ目のテーマは、ミラーボールの光に包まれた、これまでとは明らかに異なるトーンを持つ。
興味深いのは、この5番目のテーマがクリックできないことだ。表示されるのは「404エラー」。技術的な不具合ではなく、意図的に仕込まれた演出であることは明らかだ。
ファンが注目している細部
サイト内では、穏やかなメロディとアップテンポな楽曲が交互に流れるBGMが使用されている。また、公式SNSではフォーチュンクッキーを模した画像が投稿され、「Stay DELULU. It’s working」「Lucky number: 404」といったフレーズが添えられた。
カウントダウン表示にも工夫がある。一般的なタイマーではなく、電子レンジの表示、エレベーターの階数、バス停の電光掲示板など、日常的なモチーフを使って残り日数を示している点が特徴的だ。
これらの要素はすべて、偶然ではなく長期的に設計された演出として受け止められている。
この戦略が示すもの
このプロモーションが注目される理由は、単に「凝ったサイト」だからではない。KiiiKiiiは、プロモーション過程そのものをコンテンツ化している。
ティーザー→映像→音源、という従来の段階的公開ではなく、「考察」「共有」「解釈」を促す体験を先に提示する。待つ時間そのものが、ファンにとって参加型のイベントになる構造だ。
大規模な制作費や話題性の高いコラボレーションに頼らず、世界観と参加性で関心を維持する。この方法は、ARGやパズル文化に親しんだ世代との相性が非常に良い。
KiiiKiiiが一貫してきた方向性
実はこのアプローチは今回が初めてではない。KiiiKiiiはデビュー作『UNCUT GEM』、シングル『DANCING ALONE』の段階から、ビジュアルと謎解き要素を組み合わせたプロモーションを展開してきた。
ジユ、イソル、スイ、ハウム、キヤの5人は、距離感を保ちながらも閉じすぎないバランスで世界観を構築している。商品を売るというより、「入り込みたくなる空間」を提示していると言った方が近い。
私たちが待っているもの
1月下旬に公開される新作が、どんなサウンドになるのかはまだ分からない。それは意図的だ。「Delulu」「404」「多層的なテーマ」は、コンセプトや音楽的方向性のヒントではあるが、答えではない。
音源の公開はゴールではなく、ここまで積み上げてきた体験の“回収”になる。MMA 2025のステージで存在感を示したKiiiKiiiは、2026年において「準備段階そのものが主役になり得る」ことを証明しようとしている。
いま問われているのは、カムバックの日付ではない。彼女たちがどんな世界を構築し、それを私たちが読み解けるのか――そこに関心が集まっている。
Alex Chen
Cultural analyst with deep insights into K-content and industry trends. Known for thoughtful essays that blend criticism with accessibility.
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